1/100 scale IMS第11弾 ナイト・オブ・ゴールド・A-T物語上、同時に存在し得ない2つの帝騎とは

  • 1/100 scale IMS第11弾 ナイト・オブ・ゴールド・A-T

星団歴2988年に作られた初代「ザ・ナイト・オブ・ゴールド」をK.O.G.ラキシス(以下K.O.G.)と呼ぶならば、この3900年代に作られたと思われる「ナイト・オブ・ゴールド・A-T」は略してKOG-AT(アトロポス)と呼ばれる。
これら2騎はどちらもナイト・オブ・ゴールドだが、定冠詞「the」が付くのは初代K.O.G.のみで、物語の年表上、この2騎が同時にジョーカーに存在したことはないとされる。もともとこの2騎はいずれも物語の主人公である天照の帝専用の個人MH(帝騎)であり、天照率いるA.K.D.の旗騎(インシグニア)MHである。

初代K.O.G.が建造されてからラキシスとともに消失するまで幾度にもわたる改修が施され、それに伴い各部デザインも日々進化を遂げてきたK.O.G.だが、現実世界(便宜上、私たちのいる世界をこう呼ぶ)においてもデザインの変遷には大きく2つの節目がある。それは、2冊の公式設定資料の発刊である。
ひとつは頭部形状や細部が新たに描き起こされた「JOKER 3100」で、もうひとつは半透明積層装甲およびインフェルノ・ナパーム装備の「L.E.D.ミラージュ V3」が掲載された「KNIGHT FLAGS」である。特に後者による影響は現在でも大きく、K.O.G.も同じくヒール立ちをしたver.3の姿でコミックス10巻に登場。その際に肩アーマーと肘ブリーフ・バインダーの形状も、後のKOG-ATに近い形状に進化しているのが分かる。その変遷を長年立体物で追い続けた造形村が、その進化の系譜として導き出したひとつの解が、IMS10周年の集大成である第10弾K.O.G.と最新作である第11弾KOG-ATと言えよう。
以下、この2騎を細部まで比較・検証していく。

  • 1/100 scale IMS第11弾 ナイト・オブ・ゴールド・A-T
  • 1/100 scale IMS第11弾 ナイト・オブ・ゴールド・A-T

①K.O.G. ver.3以降から複雑な面構成となった肩アーマーは、内部機構により腕の可動に干渉しないよう独立可動する。肩の紋様はデカールと繊細な彫刻で再現。

②肘ブリーフ・バインダーも独立可動。

  • 1/100 scale IMS第11弾 ナイト・オブ・ゴールド・A-T
  • 1/100 scale IMS第11弾 ナイト・オブ・ゴールド・A-T

③スネ前面装甲から垣間見える内部フレームは、空間構成を得意とする造形村ならではの見所。ふくらはぎの3段構成の外装は、立体感を損なうことなく一体化し、組み立て易さと強度を実現。

    • 1/100 scale IMS第11弾 ナイト・オブ・ゴールド・A-T
      1/100 scale IMS第11弾 ナイト・オブ・ゴールド・A-T
    • 1/100 scale IMS第11弾 ナイト・オブ・ゴールド・A-T

    KOG-ATの基本的なスペックは全てK.O.G.に準じているが、頭部の次元航行ユニットや永久稼働システムはもっておらず、バスター・ランチャーも取り外されている。

    ④王冠のような放射状の装飾が施された頭部形状は外見上一番異なる部位。額のファティマ・ハッチ形状も異なり、付属デカールでも再現可能。その上のミラージュマークは、天照の乗騎であるミラージュ仕様のため。K.O.G.と共通の機能として、両方のこめかみ上部にヴィー・ベロックと呼ばれる大出力ビーム砲が2基、装甲内にセットされているが、このビーム砲は発射口より1mほど先でビーム化し、装甲を突き抜けて発射されるため、外見上ビーム砲口は見当たらない。これは、バスター砲では威力がありすぎるためK.O.G. ver.4から付けられたものだが、本編ではあまり使用されていない。

    ⑤後頭部にあるもうひとつの顔も見事再現。

    ⑥頭頂部には全体にわたって細かなレリーフが彫刻されている。

    • 1/100 scale IMS第11弾 ナイト・オブ・ゴールド・A-T
    • 1/100 scale IMS第11弾 ナイト・オブ・ゴールド・A-T

    ⑦MH造形の最大の見どころのひとつである腹部の蛇腹表現にもご注目。

    ⑧K.O.G.よりも若干延長されたスカート形状も抜かりなし。側面の複雑な凹凸モールドは、装甲表面と裏面パーツの貼り合わせによってより立体的に表現するなど、腹部同様に金型の限界に挑戦している。

    • 1/100 scale IMS第11弾 ナイト・オブ・ゴールド・A-T
    • 1/100 scale IMS第11弾 ナイト・オブ・ゴールド・A-T
      1/100 scale IMS第11弾 ナイト・オブ・ゴールド・A-T

    ⑨背面スタビライザーは、「デルタ・ベルン 3007(式典仕様)」のK.O.G.よりも短い標準サイズ。

    ⑩バスター・ユニットが取り外された腰周り。バラストとなるカウンターウェイトなど基部が残されているのは、2989年のコーラス・ハグーダ戦の際に全て取り外したK.O.G.が動かなくなったことから、基部にも安定システムが入っているため残されたと推測される。

    ⑪めったにお目にかかれない真下からのアングル。ABSOMECの新機構を一部取り入れた股関節やスカート裏面、その他アンクルガードや足の裏など見所満載。

    • 1/100 scale IMS第11弾 ナイト・オブ・ゴールド・A-T

    以上から、基本的な形状と性能はK.O.G.と全く同じ、つまりはK.O.G.同様に物語中最強のスーパーロボットということが分かる。
    劇中では、天照率いるA.K.D.による3239年のカラミティ侵攻の際に、カラミティ星の爆発に巻き込まれた初代K.O.G.がラキシスとともに時間の彼方に消え去ったのち、2番目のK.O.G.として天照によって再建造されたのがこのKOG-ATである。
    天照がラキシスとK.O.G.を失い、やがてジュノーンとの対峙もあり得るであろうことから、もう一度新たに作ったMHであり、アトロポスに「もう一度作ろう、君のために」と言ったのはこのMHのことである。その際、以前天照がアトロポスに約束した通り、オージェ・アルスキュルのエンジンが再利用されている。
    製造年月は不明で、戦闘回数はわずかに2回。1度目の3960年のコーラス戦では、最後に天照とアトロポスが本騎でコーラスを制圧していることから、大体その10年前には完成していたと思われる。2度目は、4100年にユーパンドラがアトロポスと出撃し、コーラス6世とクローソーのジュノーンと相討ちとなった。それ以外にも、3960年以後このMHを使うことになるユーパンドラが何度か使用しているかもしれないが、記録には残っていない。

    このように、同時にジョーカーに存在したことはないとされているこの2騎を、IMSで並べてコレクションできる悦び。
    ぜひ実際に手に取って、それぞれの魅力をじっくりご堪能いただきたい。

    RELATED ITEMS 関連アイテム